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物流事業者、荷主、消費者それぞれがやるべきことは?

2024年問題

【1】2024年とは?

「2024年問題」とは働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働の管理が厳格になることで起きうる諸問題のことです。
運送業者にとって、ドライバーの残業代が減ることやそれによる離職、人手不足などが起こるリスクがある他、荷主企業にとっても、これまではドライバーが一人でカバーできていた輸送エリアが限られ、可能だった長距離輸送の手配が難しくなるため、運賃が値上がりする可能性が考えられます。
当社が監督官庁へ届出をしている路線乗務社員の労働時間は改善基準告示の範囲内としてあり、拘束時間が短縮される2024年に向け、対策が必要となります。

2024年問題

誰にどうのような影響がある?

物流事業者

荷主企業

消費者

物流事業者
荷主企業
消費者

■ 現在の輸送リードタイムを維持できなくなる可能性がある

■これまでと同様の輸送を継続するための人材確保がより困難になる可能性がある

■ リードタイムの延長により、営業体制の見直しが迫られる可能性がある

■サービスレベル維持のために生産体制などの業務体制の見直しが迫られ、コスト上昇の可能性がある

■ 当日、翌日配達サービスが受けられない可能性がある

■再配達サービスが無料で受けられなくなる可能性がある

【2】ドライバー不足の現状

(他の産業よりも深刻で慢性的に続く人手不足)

経済産業省、国土交通省、農林水産省で構成される「持続可能な物流の実現に向けた検討会」資料によるとおよそ55%の運送事業者がドライバー不足を感じています。日本全体での人口減少が進む中、ドライバー不足の深刻化が懸念されています。

物流業界が取組む施策の柱

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2024年問題

出典:経済産業省|我が国の物流を取り巻く現状と取組み状況
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service?sustaionable_logistics/pdf/001_02_00.pdf

【3】長距離運行に対する施策

長距離運行便を鉄道などのモーダルシフトする施策を展開

西濃運輸では600kmを超える長距離運行便の40%をトラックを使わない輸送に切り替え済み

混載ブロックトレイン(一部貸切貨物列車)

➀カンガルーライナーSS60(2018年)吹田(大阪)~郡山・仙台間で運行

②カンガルーライナーNF64(2021年)名古屋~福岡間で運行

③カンガルーライナーTF60(2021年)東京~東福山(広島)間で運行

導入効果

2023年10月より、小牧支店(愛知県小牧市)が取り扱う自動車メーカーの部品輸送において、九州方面への輸送の一部を鉄道輸送に切り替え。
愛知県内6ヶ所の自動車メーカー・部品センターから出荷される九州方面への補給部品のうち、1日約130トン(大型トラック13台分相当)を鉄道輸送に切り替え。従来の大型トラックでの輸送の場合、愛知県~福岡県までの歩行距離は約930km、歩行時間にすると約14時間を要していたが、鉄道輸送へのシフトにより、トラックドライバーの拘束時間および負担軽減を図る。また、このモーダルシフトにより、年間約1,050トンものCO₂削減が見込まれます。

2024年問題
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荷役分離

荷下ろし作業を現場作業員が担当することで、ドライバーの作業時間を軽減。

ユニット輸送

物流現場でよく利用されているカゴテナーよりもサイズが大きいユニットを開発。
路線車両への積み込み作業を現場作業員が担当することでドライバーの作業時間を軽減するとともに、荷下ろし時もユニットごと荷下ろしすることで、荷下ろし時間も削減。

RORO船の活用(モーダルシフト)

RORO船とは、貨物を積んだトラックやシャーシ(荷台)ごと輸送する船舶のこと。
導入事例として、東京⇔佐賀(足立⇔鳥栖支店)間の幹線輸送を大型トラックからRORO船を活用。大型トラックで幹線輸送する場合、車両での輸送距離は約1,150㎞であったが、RORO船による海上輸送へ切り替えた結果、車両での輸送距離は、足立支店~有明港間の約30㎞と、苅田港~鳥栖支店間の約100㎞の合計となりました。約1,000㎞を海上輸送に切り替えることでトラックの歩行距離を約87%削減でき、ドライバーの運転時間および拘束時間を約87.5%※削減。

※出典:物流総合効率化法の認定状況
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001614167.pdf

ユニット輸送

ユニット輸送

RORO船の活用

RORO船の活用

【4】中継輸送拠点の設置

2023年10月1日から大阪府茨木市の北大阪支店中継輸送の専門店として稼働。これにより輸送力の増強と運行便の効率化を図り、2024年問題に対応します。

北大阪支店は、JR貨物の大阪貨物ターミナルに近接しているという立地を活かし、全国から九州宛の荷物が持ち込まれ、鉄道輸送やトラックを使った中継輸送が行われるプラットホームが混雑する拠点となっています。そこで、輸送力の強化に向けて、北大阪支店が担当していた集配エリア※を西濃運輸の豊中支店と摂津支店に移行し、九州向けの中継輸送を行う専門の拠点として運用を開始します。

今後は全国の事業所から九州宛の荷物を受け入れ、幹線トラックと鉄道輸送を組み合わせた効率的な運航体制を構築することで、繁忙期・閑散期などの物量の変動にも柔軟に対応することが可能となります。

また、現在よりも約67,200t/年の取扱量の増量も可能になると試算しており、人手不足や車両不足、また2024年問題などで課題を抱える同業他社の九州宛の荷物の受け入れも可能となります。

※大阪市東淀川区、守口市、茨木市の一部

2024年問題

【5】物流の効率化・協業施策

ダブル連結トラック(25m)の導入

小牧支店~藤枝支店間で運行開始。直近では西広島支店~神明支店間で導入するなど、計5台が運行中。当社以外にも、ヤマト運輸様、福山運輸様、日本梱包運輸倉庫様、バンテック様など複数の物流事業者でダブル連結トラックが導入されています。

スーパーフルトレーラSF25を活用した共同幹線輸送

日本通運様、日本郵便様のトラクターが、ヤマト運輸様の関西ゲートウェイ~厚木ゲートウェイ間でヤマト運輸様のトレーラを連結し、幹線輸送。合計6台のSF25が運行されています。積載量が従来の大型トラックの2倍、異なる事業者のトレーラを連結し、1台の車両として運行。物流事業者の壁を越えた輸送の効率化を実現します。

共同配送

佐川急便様と、人口減少地域である青森県下北郡向け荷物の幹線共同配送およびお届け先までを共同配送。トラックの積載効率が向上し、トラック台数の削減、それによる労働・環境負荷低減など、持続可能な物流体制の構築に寄与します。

物流の効率化

【6】物流DXによるマッチング

(同業他社と「競争」ではなく「共創」へ)

セイノーホールディングスとラクスル株式会社様とのジョイントベンチャー「ハコベル株式会社」の設立

貸切輸送の領域をWEBシステムでつなぎ、貸切の片道輸送や低積載輸送などの解消による輸送の安定供給、同業事業者との共存栄を図る。タイヤ関連商材、資材、燃料などセイノーの調達力を活用し特別プランで提供する「ハコベルサポーターズプログラム」展開。
詳しくはこちら>

「見つカル倉庫」

荷物を倉庫に預けたい荷主企業と空きスペースを有効活用したい倉庫事業者をつなぐ物流マッチングサービス。全国の同業事業者の倉庫情報も紹介。
登録倉庫数:1,200件、登録坪数:480,000坪 ※2023年10月現在
詳しくはこちら

見つカル

【7持続可能な物流のために物流事業者が取り組むこと

(2024年問題は物流業界全体での改革が求められる)

  • 業界全体のトラックへの積載率40%程度と言われており、その状態の改善が業界全体の効率化や持続可能性につながる。
  • 個社単体の機能だけでは限界があり、様々なお客様と事業者が容易に集まれるプラットフォームの整備が重要。
  • プラットフォームの相互利用で、新たな価値が連鎖的に創造され、日本における効率的な物流ネットワークの実現と日本の物流のバージョンアップにつながる。
  • カーボンニュートラルに貢献することはSDGsへの取り組みとしても最も重要な取り組みになる。これも、個社単体での取り組みではなく、企業の垣根を越えて、連携して取り組みを進めることが大きな成果へとつながる。

今後の見通し


  • 長距離トラック輸送は、ドライバー不足や2024年問題に対応するため、コンテナ輸送や海上輸送への切り替えなど、特に600kmを超える輸送においては、モーダルシフトがさらに進むと予想される。
  • 人口減少や市場のシュリンクという課題から、お客様の考えに変化が生まれてきており、物流で差別化を図る企業と、物流を非競争領域と捉え、他社と「競争」するのではなく、「共創」ともに創り上げていくようにシフトすると予想される。
  • 輸送事業者側においてもトラック輸送市場における競争の形は、多重下請け構造から、荷主と実輸送事業者が集まるプラットフォーム化が進むと予想される。

【8持続可能な物流のために荷主企業と物流事業者で取り組むこと

(物流事業者、荷主の双方がトラックドライバーの労働条件改善の問題意識を持つ)

作業

1.手荷役作業の削減

■ パレット出荷による手荷役作業の削減

パレットを用いた荷役作業により、トラックへの積み込みや、積み下ろし作業時間を削減する

荷主企業側としても、構内作業員の作業時間短縮や荷受バースの効率的な運用が可能

リードタイム

2.余裕のあるリードタイムの設定

■ 商品到着日指定を「〇月〇日必着」から「〇月〇日までに到着」へ変更

特に、関東から九州方面、関西から東北・北海道方面などの長距離輸送においてはゆとりのあるリードタイムで出荷対応を行う

また、当日出荷対応可能な受注時間もゆとりを持っていただくようエンドユーザー様にもご協力いただく

【9持続可能な物流のために消費者として取り組むこと

(一度で荷物を受け取ることができるよう日時指定は慎重に)

配達回数

1.再配達を減らす配慮

■ 一度で受け取ることができる日時や場所の指定

再配達の削減の取り組みとして、確実に受け取れる日時や場所の指定を行う

また、宅配ボックスや置き配、コンビニ受け取りなどの利用を検討する

まとめ買い

2.まとめ買いによる配達回数削減

■ 急いで必要なものを除いて、一度の注文にまとめるよう工夫する「こまめな注文」→「まとめて注文」することで、配達回数を極力抑える


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